俺は小さい頃に負った悲しみよりも深い傷を負った気がした。

それから、また俺は嘘と我慢を繰り返した。

だけど口では嘘をつけても心は嘘をつかない。

俺の心は案外、正直で脆かった。



生まれて初めて、絶対に絶対に

手に入れたいものが見つかった。

それが結衣だった。

生まれて初めて、絶対に絶対に

失いたくないものが見つかった。

それが陸だった。

その選択に俺は

もがいてもがいて

苦しんで苦しんで

泣いて泣いて

そして今も、

もがき続けている。

両方、失いたくなくて

両方、大切で

そんな俺は我が儘すぎたのかも知れない。

どっちかを取れば、

どっちかを失う。

その事に気づけなかった俺は、

やっぱりバカだ。