チャイムが鳴っても、そこに立ち尽くしていた俺の横を数学担当の山本(通称、山ちゃん。自称、山P)が俺の姿に気づき立ち止まった。

俺は山ちゃんに向かって、へらっと無邪気に笑って見せた。

『おいおいおいおい。何だ、そんな顔、びしょびしょにしてよー。一人で水遊びかよ、寂しい奴だなー。もう授業始まってんぞー』

と言う山ちゃんの特徴?である『おい』を何回も繰り返すのと一言が長い言葉に何だか笑えた。

「ふっ。山ちゃん、一言長すぎっ」

『山ちゃんじゃない、山Pだ。良いから、早く教室に入れ!』

そう言い山ちゃん(意地でも山Pとは言わない。)は自分が受け持つクラスへと入っていった。