ずっと感じていたのは、

ヤマタロのことが大好きな彼女たちと、ヤマタロとの温度差。

どんな辛いことも、

どんな幸せなことも、

すました顔で恋を語るヤマタロを見ながら、いつも思っていたことがある。

それは、ヤマタロは、友達としては最高な奴だけど彼氏にしたら絶対大変だなぁ。
だから、私は、友達でよかったなぁ……っていうこと。


ヤマタロは、いつも横顔のイメージだ。
穏やかで、優しい表情をした、横顔。

いつも斜に構えたヤマタロは、余裕たっぷりで、私や他の女の子達にその素顔全てを見せてくれない気がしていた。



……だけど。


私がメールを交わした“オレ”は違う。

その顔はモヤがかかって見えないけれど、間違いなく私の方を向いてくれていた。

私は、そんな風に真正面からぶつかってくれる“オレ”が好きだった。




しっかり“オレ”と向き合って、

もっともっと、私のことを知って欲しいし、
もっともっと、“オレ”のことを知りたいと、

思い始めたところだった。



なのに。


……どっちが本当のヤマタロなの?



ねぇ、ヤマタロ。

私はまだ、本当のヤマタロを見つけていないのかな?