「あぁ……」

チョコはクスリと笑った。

「だって、あのメール、どこからどう見てもヤマタロじゃん!」

「え?」

私は顔を上げた。

「あの話し方といい、深月の扱いが上手なところといい……そのまんまヤマタロなんだもん。私からしてみれば、深月が気づかない方が謎なんだけど……」

チョコはそう言って私の顔をのぞき込む。

私は『気づかなかったよ!』と言わんばかりに首を大きく横に振った。

「じゃあ、あの日、2人でメールを見たときに気づいたの?」

「うん! だから私、あのとき言ったでしょ。『もっと早く見せてもらえばよかった』って」

そうだったよね……。
チョコのおかしな態度の理由がやっと分かったよ。

「それにしても、あのヤマタロがここまでやるとはねー」


チョコがグラウンドに目を向ける。

少し離れたところで、男子が野球の試合をしていた。


「最初は驚いたけど……でも、結構マジだと思うよ、アイツ」

「ヤマタロと話したの?」

「ちょっとだけね。陽人じゃないけど『深月を泣かすな!』って忠告しといた」

「えええーっ!」

チョコ、いつの間にかそんなこと、してくれてたんだ……。