ムカつく理由は他にもあった。

陽人とチョコのヤツが“オレ”を「変な男」扱いしたことだ。

「気持ち悪ーい!」
「そんなヤツ無視すればいいの!」
とか、
「名前も名乗らないなんてロクな男じゃない」
とか。

……。

あいつら(特にチョコ!)言いたい放題言ってくれやがって。

こっちの事情も知らないくせに。

覚えとけよ……。


しかも、陽人に至っては、しょっぱなから「危険なストーカー」認定だ。

最初のメールを送った日の放課後、グラウンドで柔軟体操をしていると、陽人が神妙な顔つきでオレにこう言った。

「オレ、深月のことが心配だから、これから、行ける日は駅まで迎えに行こうと思うんだけど」

「……は?」

「だって深月はストーカーにつきまとわれてるんだぞ。隣に住んでいながらアイツに何かあったりしたら、オレ、きっと一生後悔する」

おいおい……。

オレは姿勢を変えて、陽人にプロレス技をかけた。
半分本気で。

「やめとけよ、まだそうとはっきり決まった訳じゃないんだし」