それは、昨晩の“オレ”とメールのやりとりをしていた時のことだった。

メールを交わしていくうちに、きっと、私の様子が普通じゃないことを“オレ”は察したんだろうと思う。

返信に時間がかかったり、
文章がめちゃくちゃだったり。

だから。

“オレ”は、優しい相づちの合間に、一度だけ、こんなメールをくれた。

<電話で話すか?>

昨日は余裕がなくて、その言葉の重大さにも気づかずに<メールでいいよ>って答えてしまったけど……


電話って……



電話って…………



今、冷静になって考えてみると、これってものすごいことだよね。

“オレ”は正体をカミングアウトするつもりだったの?

それとも、私が声を聞いても、誰か分からないような相手なの?


「あのね、チョコ。実はね……」

そのことをチョコに話すと、チョコは

「うおぉっ!」

と、興奮のあまり、まるでかわいくない低い声で唸った……。

「この調子でいくと、“オレ”が誰か分かる日もそう遠くないんじゃない!?」


チョコの目が、キラキラ輝いた……ような気がした。