思い出は次々によみがえってくる。


この1年は、私の人生にとって、間違いなく最高の1年だった。

それなのに。

慎は、こんなにたくさんの思い出をくれたのに。


私はそんな慎に、自分の本当の気持ちを話せなかった。

最後に「ありがとう」の一言さえ、伝えられなかった。




<どうしよう。『好きじゃない』なんて嘘。私、慎のことが本当に好きだった>

泣きながら、メールを送る。

<そんなの、知ってたよ>

<うん……>

<アイツの隣で幸せそうに笑ってるおまえを、オレはずっと見てきたんだから。強がってるのも、傷ついてるのも、全部お見通しだったんだから>

<うん……>

<おまえはやっぱり、頑張ったんだよ。最後まで我慢して、偉かったな>


「っ……うぁ……っ……」

涙が止まらない。

<つらいときは泣けよ。おまえはいつも笑ってるけど。こんな時まで自分に嘘ついて笑って、自分のことを傷つけるなよ>

<うん……>