その少女のことは、僕しか知らないようだった。




家の奥に、小さな部屋がある。


そこに彼女はいるのだ。



赤い着物を着て、僕を待っている少女。


名前を持たない少女のことを、僕はなんと呼んでいたのだろう。

遠い記憶だから、思い出せない。



それでも僕と彼女は遊んでいた。


毎日。