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 何で、あそこに行かなきゃなんねーんだ。

 カイトは、本当に理不尽だった。

 行きたくないと思う気持ちは、予防接種がキライな犬なんかとは比較にもならない。

 しかし、その衝動を必死でねじ伏せるのである。

 役所の人間は『2人』と言ったのだ。

 1人でよければ、絶対にシュウのところで済ませただろう。

 あの男が、一番面倒ではない。

 しかし、2人必要なのだ。

 2件の家をちんたら回って2回恥ずかしい思いをするよりも、一カ所で手早く済ませてしまおうと思ったのが――もしかしたら敗因だったかもしれない。

 問題の家の前に、ドンと車を横付けした。

 ついに、到着してしまったのだ。

「ここって…」

 メイが、窓から外を見て、驚いたような声をあげた。

「ここって…ソウマさんの…」


 彼女は、そう言った。


 何でソウマん家を知ってんだ!!!