冬うらら~猫と起爆スイッチ~


「そうね…歩いて行くには少し距離があるから…いいわ、私の車で出かけましょう。この辺りの案内も出来るし」

 ハルコは、ソファから立ち上がってくれた。

「ありがとうございます!」

 ありがたい申し出に、笑顔でお礼を言う。

 やはり、いつもハルコにお願いするワケにもいかない。

 せめて、スーパーまでの道のりくらい、自分で歩いていけるようにならないと、これから不便なのだ。

「でも、とりあえずはお布団を干しましょう? それからでないと、お店もまだ、ほとんど開いてないわ」

「はい!」

 メイは、さっき開け損ねた窓に向かった。

 広い窓なので、ここに布団が干せそうだ。

「それじゃあ、私はシュウの部屋に行ってくるわね」

 にこにこと微笑みながら、ハルコは部屋を出て行こうとした。

 が。

 足を止めて振り返る。

「ところで…彼は、今朝も朝食を食べてバイクで出かけたのね」

 念を押すように聞かれる。

 メイは振り返った。

 何故、そういう事実確認をしてくるのかは分からないけれども、とりあえず事実なのでコクリと頷く。

「そう」

 嬉しそうな目になって、ハルコはドアの向こうに消えていく。

 やっぱり、カイトの健康管理が気になっていたのだろう―― よかった。

 メイは、とても自分がいいことをしているように思えて、すごく嬉しくなった。

 お役立ちグラフのメーターが、上に伸びたのだ。


 きゅうんっと。