乱暴な態度とかきつい口調とか、怖かったし何かされるんじゃないかという不安が、最初はつきまとっていた。

 けれども、それがボロボロとはげていく。

 いつか見た、ディズニーの『美女と野獣』の野獣のようだった。

 乱暴で。

 きつい口調で。

 本音が一番最後、もしくは最後まで見えない。

 メイは、自分があてはめたたとえに、クスッと笑ってしまった。

 あまりにピッタリだったのである。

 勿論、カイトに魔法はかかっていないだろうけれども。

 階段にさしかかる。

 そこで、少し気分が沈んだ。

 それじゃあ、私は野獣に幽閉されてる町娘なのかと思ったら、そうではなかったからだ。

 何を考えてるの!

 メイは、こんな自分はイヤだった。

 沈む理由も必要もないはずだ。

 彼女は、あの物語のティーポットになればいいのだ。

 野獣のことを理解して、いつかカイトにとっての本物の美女が現れた時に、出来る限りのことをすればいいのである。

 いつか本物の。

 そう思った時には、彼女はもうカイトの部屋の前にいた。

 しっかりしなきゃ。

 一つ大きな深呼吸。

 ずっと側にいたいんだもの。

 ノックノック。

「おはようございます」

 呼びかける。そんなに大きくはない声で。

 ドアの向こうは無反応だ。

 きっとまだ寝ているのだろう。

「失礼しま…」

 カイトを起こそうと、そっとドアを開けた瞬間―― 彼女はあわや悲鳴をあげてしまいそうになった。