『つき合わないよ!だって、タカヒロは友達だし…』

『ヒロ君が忘れられないから?』

由里の言葉には少しとげを感じた。
私が言葉を発する間もなく、由里は続けた。
『かながヒロ君忘れられない気持ちはわかるよ。けど、今のままじゃ何も変わらないし前進しないよ。ヒロ君には新しい彼女がいるんだよ。思い続けたからって、彼女と別れて自分と付き合ってくれるわけじゃないんだよ。私はかなには元気に笑ってて欲しいよ。ヒロ君と別れてからのかなは全然笑わなくなったじゃん。だから、ヒロ君の事忘れて新しい恋して欲しい。今チャンスだと思うよ!タカヒロ君もお試しでもいいからって言ってるんでしょ?だったら、お試しでも何でもいいから、ヒロ君以外にも目を向けてみなよ!』

由里の目には涙がにじんでいた。
由里の気持ちが痛いくらい響いてきた。
いつも泣いて由里に話を聞いてもらってたけど、由里はただ静かに聞いてくれるだけだった。

由里は何も言わなかったけど、いつも私のことを心配してくれてたんだな。