「あのさ――…一緒に帰らない?」 唐突にあたしの目の前に現れたくせに、何彼氏気取りしてるのよ。 すぐにでも文句を言いたかった。 「悪いけど……」 帰らない。 と言ってやろうと思った。 だが、周りが野次馬だらけ…それと菜美が教えてくれた。 『価値が上がる』 ……上げる。 「うん、いいよ。一緒に帰ろ」 そう言うと、「良かった」と微笑む。 でもあたしは騙されない。 そんな安っぽい笑顔であたしが落とせるとでも? 馬鹿にされている気がして、とても不愉快。