あたしは
持っていた紙袋を下に置いて
素直にその話を聞き始めた。
六本木の道端で
人気アイドルと、いちディレクターが
2人で立ち話…なんて
よくよく考えると、信じらんない光景だけど
そんなこと、
うちら2人の横を通り過ぎる人たちには、分からないわけで。
「オレらをインタビューする人たちってさぁ、大概テンションすげぇ高いんだよ、ねぇ。特に女は……」
そんなことを、気にしてないのは
熊谷さんも同じみたいで
ジーンズのポケットから、徐にタバコを取り出すと
自然の流れのように、そのタバコに火をつける。
もしや煙をかけられる?
と思って見ていると。
ニヤリと笑いながら、横を向いて煙を吐き出されて。
あれ??
また見透かされた??
なんて考えてたら
「だからあんた、顔に出やすいんだって」
そう言って熊谷さんは、また笑い出す。
「あんたさぁ、インタビュー中ずっと普通だったじゃん?」
笑いながら問う、熊谷さんに
「普通なのが、普通だと思うんですけど…」
って答えた、あたし。
それになぜか
「マジおもしろいね、あんた!」
って、更に熊谷さんは、お腹を抱えて笑い出した。
これは、お酒のせい?
インタビューの時と違って
いやーにテンション高いんですけど…(汗)
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