“なんでだろう??”
って、頭の中で考えてたら
熊谷さんが急に「ブハッ」って吹き出して
今度はそれに、ビックリしたら
「あんた、すぐに顔に出るのな?」
って、また熊谷さんが笑った。
インタビューの時には
全然見せなかった、その笑顔に、
あたしは―…
不覚にも
ドキドキしていたんだ―…
だけど。
「おーい。じん、行くぞー!」
「…おぉ…」
あたしと会話する熊谷さんを尻目に、進み出した友だちたちの呼び声で、
あたしは現実に戻された。
熊谷さんは、友だちの方へ振り返り返事をする。
でもすぐに、あたしの方をチラッと見て
「後で追いかけるから、先行っといて!」
と、友だちに声を掛け直した。
熊谷さんの友だちが一瞬。
あたしを睨んだように見えたのが気になったけど
「分かった」と返事をして
酔っ払いの集団たちは、また夜の街に消えていった。
つまり今。
ここには
あたしと熊谷さん
オンリ―…。
*


