どうりで衣幸が素の姿で喋っている訳だ。
衣幸は親しくない相手には猫どころかアンゴラの皮被っているからなあ。
外見通りの大人しく、文学好きの人見知りを演じている。
本性はネトゲ好き、漫画ばっかり読んでいて純文学には手をつけないような奴だけど。
「サク、今失礼なこと考えた?」
「いいえ、めっそうもございませんわ」
「というわけで日ノ原、誤解だ」
「何が「というわけ」なのかさっぱり理解しかねるけど」
すかさず市木がフォローを入れる。
俺が紛らわしい言い方するのなんていつものことだろ、と。
そして、それで納得してしまう衣幸。
そこまで市木の発言には語弊が大いなるのか、と尊敬の念さえ抱く。
「サク」
「うぃ?」
「あんなことを大声で叫びながら走り回ってごめんね!」
「………………衣幸!」
「サク!」
お互いに抱き合い、そして名前を呼び合い感動のフィナーレ。
決して「私をぶて」とか言わない。この後どちらかが片方に刺されてる衝撃的ラストもない。
本当に衣幸といると、おかしいことばかり起きる。
間違えた、私の頭が普段よりもおかしくなる。
そして2人抱き合い名前を呼び合うところをクラスメイトに目撃されるのは時間の問題だった。


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