英雄飼育日記。




弁当を急いで作り終えた頃には、20分を軽く過ぎていた。

昨日と同じく、ピンチ。

7時47分。



「ぜぜぜ絶対に荒らしたり出ないでよ!」


学生鞄に弁当を突っ込み、急いで玄関へと向かう。

昨日は何とか間に合ったけど、今回は少しキツいかもしれない。

靴ひもに手をかけると同時に、カナトが私のことを呼ぶ。


「サクハ君」

「何?」

「いってらっしゃい」


確か、こう言うのだろう?


心配そうに微笑むカナト。


「………………行ってきます」



私はそれだけ行って、家を出た。

少し嬉しかっただなんて、認めない。

絶対に認めない。言ってもやらない。



「……………………いってらっしゃい、か」



思わずリピートする自分に恥ずかしさをおぼえ、頭を振る。


とりあえず今の目的地は学校だ。

私は単純になることで、ややこしいこと全てを捨てることにした。

ただでさえ、昨日からややこしいことばかりだというのに。

小さなことで悩んでたら頭がパンクしてしまう。

私は地面を蹴り上げながら、「考えないこと」を正当化した。