英雄飼育日記。




「………………おいしい?」


こくりと無言で頷く犬。

その顔は、とてもいい笑顔。


さすがアロエヨーグルト。

ファンタジー生物をも虜にするなんて。


おかわりを期待している様子のカナトの希望を打ち砕き、スプーンを引っ込める。

これは私の朝食なんだから、サービスサービス!

そういやペンギンってペットにできたっけ。


「残りは全部私のも、の………………」


スプーンを容器に突っ込もうとするその瞬間。

私の脳内に警鐘が響いた。

常識的に考えろー、ともう1人の私が脳内にて暴れている。



「……………………あ」



常識的に、さっきのことを振り返ってみた。


カナトにアロエヨーグルトをあげる。スプーンごと。

これ自体案外恥ずかしい行動ということには目をつむった。


そして今現在。

そのスプーンで食べようとしている私がいる。


結論。

間接キスをするぞ、このままでは。



「い」

「い?」

「い、いいい…………」


犬といえども嫌だー!


私は少女漫画のごとく目元を押さえて台所へ走った。

スプーンを洗いに行くだけなんだけども。