英雄飼育日記。



「サクハ君、それは何だい?」


カナトが、私の手の内にある容器を指差し言う。

人が自国の言葉について悩んでいる中、お前は異世界の食べ物について悩んでいたのか。

悩んでいるというよりは、疑問を持つ、だけど。


「アロエヨーグルト。私の大好物」


「へえ。食べ物かい?」


「そ。甘くてすっぱくておいしーの」


彼の目の前で、わざとらしくおいしそうに一口。

あーやっぱりアロエヨーグルトは世界一おいしいわー。

大袈裟に感想を述べる。


それを聞いたカナトは、じっとこちらを見つめていた。

なんかさっきの姿見たから、本気でおやつを待っている犬にしか見えない。

きらきらと輝く目、ぱたぱたと振られているであろう尻尾(幻覚)、そして片方だけ垂れている犬耳(幻覚)!

こいつ、ただの半裸ウザ男だと思っていたが、かわいいかもしれない。



「………………ほしい?」

「ほしい」


即答ですね。

本当にこいつ犬だ。


「お手」

私の左掌の上にかぶさる彼の掌。


「おかわり」

今度はもう片方の掌がかわりにかぶさってくる。


「待て」

突き出されたスプーンを視界の外に追い出そうと頑張る犬。


「よし」

スプーンに食らいつく犬。

だめだこいつ、完璧に犬だ。