妖怪の中にも被害者はいる。
やむを得ない事情でこの世界に来た者、突然飛ばされた者、迷子になった者。
人間を助けるとともに、そのような妖怪を助けるのも私達の仕事。
それを聞くと、市木の言ってることと違うと感じた。
ただ市木が乱暴なだけなのか、隠してるのか。
とりあえず目の前の仮定に目を向けることにした私は、カナトに尋ねる。
「いつまでその姿なの? かわいいからずっとそれでもいいけど」
余計な一言を付け加えた瞬間、カナトが元の姿に戻った。
あれ、犬の方が本来の姿って言ってたから元の姿とは言わないんだっけ。
何ていうか面倒くさい。
「それじゃあ適当にテレビでも見て待ってて」
「サクハ君は?」
「風呂」
自分でも女っ気ない返答だなあと思いながら、風呂場へ足を進めた。
こうなったらちょうどいいパシリができたということにしておこう。
食費はいらないし、命の危機にあったら守ってくれる。
そもそもカナトに会わなきゃ命の危機なんて訪れることなかったのだけれど。
「あ」
そういやシャワー浴びる前に着替えたのは失敗だった。


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