6のその後。

酔った私はカナトに部屋に運んでもらってしまった。


まさか、影の中に入り込んで移動するとは誰が予想できただろう。

あと着いた先がリビングのテーブルの下だというのも。

更に深く追及すれば、お姫様だっこされていたというのも加える。

おかげで頭を打って、酔いが更にひどくなってしまった。

速く帰れたのは感謝するけども。



「サクハ君、薬というのはこれで合ってるかい?」

「あーうん。あと水持ってきて」

「はい!」


元気よく返事すると、カナトは慌ただしく1階へと向かった。

これじゃあ体のいいパシリじゃん、と思いつつパシる私は悪だろうか。

酔ったせいなのか疲れのせいなのかはわからないけど頭が痛いのは事実だから思う存分パシってやろう。

どうせ、夢の話だし。


それなら私は市木をあんな奴だと勝手にイメージしてたのだろうか。

なんていう奴、と自分で自分を責めてみる。
マゾじゃないから嬉しくも何ともなかった。



「………………ねむ」


何かもう、薬とかどうでもいいや。

私は己の睡眠欲にあっさりと降伏し、幸せな現実へと戻ることにした。


ごめん、カナト。水持ってきてくれてるのに。