「ていうか、何でタロウは半裸? 露出狂?」
そんな風見の一言により、私の視力と頭が回復する。
あ、そういえば。
突然襲われたり市木様かっこわらいの説明で吹っ飛んでいたけども。
こいつ、半裸のままだった!
「こちらの世界に来たらこうなっていたんだ、好きでこの格好ではない」
「剥かれたの?」
「私がそんなヘマをするとでも?」
剥かれる、その線はあながち間違いでもないかもしれない。
もしカナトが「昨夜この世界に来た」とするならば。
つまり、それは私の家の前で夜通し待っていたということ。
そんな中、変態が私の家の前を通ったらどうなるだろう。
一、写メを撮る。
二、拉致る。
三、剥く。
四、16200秒くらいじっくりと見つめる。
「ごめんカナト! 私っ、ひどいことをした!」
「な、どうしたんだい!?」
「とりあえずそのままじゃ帰れねーだろうからこれ着てけ」
「ありがとう市木さ…………へ?」
あまりにも普通の流れで、ブレザーが私の目の前を横切った。


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