そのときだった。 ガラガラっとドアの開く音がして、教室の空気が刹那にして変わった。 静かな教室に、誰かの足音がする。 「奏、クン……」 那須さんがつぶやいた。 「オマエら、何やってんの?」 奏の声だ。 昨日、たくさん、たくさん聞いた声。 「あ……その……」 「つか、なんで床に座ってんだよ円」 顔をあげると、彼がしゃがみこんで私に話しかけた。 学校では、いつも完全無視を決めこんでいたはずなのに。 「か、かな、で……?」