それから、紗弓は寝込んでしまった。
風邪だったのかな。


学校にも1週間はもう来ていない。
家に行くと『移るといけないから』と言って
紗弓のお母さんには通してもらえない。


窓から入ろうにも、
メールで紗弓に来ないように釘を刺されてしまった。


学校はつまらない。
授業中も頭に浮かぶのは紗弓の事だけ。
大丈夫かな…


こんなに長く休んだのはインフルエンザ以来。
確か1週間休んだんだっけ。


「はあぁ…」


頬杖をついて、溜め息をつく。
この体制で何度か腕の力が抜けてしまい
机に頭を打ち付けたりした。

ありゃ痛いね。うん。


よし、メールで聞いてみよう!


そう思って、携帯を取り出す。
風邪か熱か知らないから…

とりあえず『大丈夫?』って送信した。


少ししてから帰ってくるメール。
内容は『まだちょっと辛い。まだ休むと思う…』

そんな内容だった。


「紗弓…」


いつの間にか口に出ていた彼女の名前。

俺って少し紗弓と会えないだけでダメになるな。

今回、よくわかった。





あれから三日。
紗弓はまだお休み中…

いい加減俺、死ぬ…


そんな時、携帯が鳴った。
…【七瀬自宅】と出ている。


何で家から…?
まぁ、良いか。


「もしもし?」


『十雅久し振り。紗弓ちゃんでーす』


「さ、紗弓?!」


聞こえてきたのは、
ちょっと元気のない紗弓の声。


やばい…俺、
紗弓の声聞いただけで復活しちゃった…


「風邪?熱?大丈夫??」


『…風邪こじらせちゃって、高熱なの。
まだちょっとダル…ッゴホゴホ!』


咳が何だか酷くなってる。
本当に辛そ…


「大丈夫?無理すんなよ?」


『うん…。えっとね、携帯が壊れちゃったの』


「携帯が?」


『うん。私はこの状態だし、しばらくメールは無理そうなんだ?
だからって今みたいに家の電話からじゃ…っ!ケホケホ…』


ちょっとは我慢したみたいだ。
咳が小さくなってるから。