勿忘草をベースにした花束。我ながら未練がましいな。 そう思い部屋に入る。 「志紀、調子はどう?」 「……お前…」 「あ、名前言ってなかった? 天音だよ、よろしくね」 無理に笑顔を貼りつけて志紀に手を差し出す。 「……あぁ」 「これお花ね。生けておくから」 「……あぁ」 「それじゃあ、私、用事あるから帰るね。ばいばい!!」 ―パタン。 静かに扉を閉めると、頬に涙が伝う。 あんなに冷たい返事 あんなに冷たい表情 全て 自分に向いているのを認めたくなくて。