「それは……どういうことですか?」


「月子を屋敷に連れてきたときに解放しようとしたが、あの時の記憶を封じてるのはどうやら俺だけではないらしい」


悔しそうに前髪をくしゃりと掴む


「たぶん人の仕業だろうが、強くて壊せなかった。……せめて月子を抱くことが出来れば内側から封印を壊せるんだがな」

スッ、と、立ち上がると神威は鋼の頭を乱暴に撫でる


「んな顔するな」


「おかしなことを聞いてすみません」


「気にすることはないさ」


しばらく二人の間には気まずい沈黙があった