鬼に愛された女



今の美月は鬼で、頭領の妻だ


そんな自分を、陰陽師である父はきっと受け入れるはずもない


しかも、鬼になったため、人の前にでれば、すぐに払われるだろう


「神威様。都はわたくしの故郷です。ですが、鬼であるわたくしたちにとっては、都は危険です」

軽々しく出歩くことも許されなくなった


もうわたくし鬼なんだということを、実感する


「そうか。だが、俺がいるんだ。安心しろ」


今度は神威が美月の頭を撫でる


「神威様……」


「よし。じゃ、行くぞ!」


美月の身体を抱き上げ、近江と鋼を呼びつけると、"行きたいところ"に、神威は向かった