「馬鹿じゃないの?」
「はい」
「はいじゃないでしょ。まったく……。何であたくしなのよ」
「わたくしは鬼堂さんに憧れているんです。毅然とした鬼堂さんに惚れました」
「毅然としたあたくし?」
美玲は立つのをやめて、すとんとその場に座った
「はい。……あのわたくしは鬼堂さんと本当に仲良くなりたいんです」
「頭領の恋人と言い張ったのに?それでも?」
「それでもです。駄目、ですか?」
美月は唾をゴクリと飲むと、美玲を見つめる
美玲は顔を赤く染め、美月の手を払うと立ち上がり、戸まで歩く
「……て、呼びなさい」
「え?」
美玲は振り向いて一言言い放つ
「美玲って、呼びなさい」
「は、はい!」
頭を下げて美月は美玲を見送る
ここに来てわたくしの初めての友人
嬉しくなった美月は、この後しばらくは神威に美玲のことを話していたのだった

