そういうことは早くいってほしいがな……


なんて考えていると、身体には包帯がきちんと巻かれた


「終わりました。ところであなた様は何の妖怪なんですか?」


「……鬼……だ」


「鬼、ですか。わたくし、十五年間生きてきましたが、鬼をみたのは今日がはじめてです」


優しく笑う少女に、不覚にもドキリとした


なんだ?急に胸が熱くなった


今まで感じたことがない感情に戸惑っていると、少女は俺に話しかけてきた


「あの、大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だ……そなた、名はなんと申す?」


「鬼様、女人はそう簡単に名を申しません。ですからわたくしは名を申しあげることはできません」


「……そうだな。」


「ですが、名乗れぬものでもありませんし」

そして少女は夜空を指差した


いや、月を指さしたのだ

「わたくしの名は月子と、申します」


「月子か」


「はい。あなた様は?」

「俺の名は神威」


俺は月子の手をとり、自分の名を書いた


「変わった名ですね。しかし、とても似合っております」