「……ひどい怪我」


少女は俺の様子を伺うと、急いで屋敷に戻っていった


俺、もう終わったな


きっと家のものを呼び出し、妖怪だとばれて殺されるだろう


諦めていた俺の前に現れたのは先ほどの少女だった。腕は白い布と包帯と水の入った桶を持っていた


「……お前だけか?」

「え?だってあなた様は妖怪でしょう?誰か呼んだらあなた様はきっと殺されてしまいます」


そう言うと神威の直衣を上半身だけ脱がして清潔な布で血を拭き取る


「そなた、俺が怖くないのか?」


「はい、怖くありません。それより怖いのはあなた様をここまで傷つけた者です」


布を水に浸して次は傷を軽く拭く


「くっ ……」


「少し染みますがこらえてくださいまし」