鬼に愛された女



「どうした近江」


「お兄様、この方が……!」


鋼は近江の指さす方を見ると、とくに変わった表情を見せずに、鬼堂美玲に話しかける


「……鬼堂家の大君とお見受けします。なぜあなたのような方がここに?」


「あたくしは、その女にようがあるの。邪魔しないでくれるかしら」


「そんなわけにはまいりません」


「なら、頭領に会わせなさい」


美玲は扇を優雅に扇ぐと、冷めた目で鋼を見る


「……わかりました。こちらです」


「お兄様」


必死に止めるが鋼は見向きもせずに美玲を神威の元に案内した