御簾ごしに見える庭に、女人と思われる者が1人、なにやらうろうろと歩いていた


「まさか侵入者?姫様、奥の方に身を隠してください。様子を見てきます」


近江はそれだけを言うと、庭にいる者の顔を見に行った


御簾をどかして高欄に近寄る


「そこの者!なにをしているのだ。名を名乗りなさい」


近江の声は、男顔負けのほどに低く言い放った