「近江、ここはどうすればいいかしら?」
美月は今、近江と私室で着物を作っていた
心が通じてからというもの、神威は毎度美月のもとに訪れては、何らかの理由を付けて居座ろうとしていたのだ
そして今回は、夏用の直衣を作ってほしいとのことだった
「姫様は覚えるのが早いですね。きれいにできています」
「本当?よかった〜。裁縫だけはやったことはなかったから助かったわ」
「いえ。私はたいしたことはしてません。……そう言えば頭領、遅いですね」
「そうかしら?でも、今はいない方が助かるわ」
笑いだす美月につられて、近江も笑ってしまった
「姫様ったら」
「だって……。あら?あれは誰かしら?」