翌日、潜入した先で必要な集音マイクなどの特殊な品物を買いに、三人は秋葉原の電気街へと向かった。地下鉄の駅へ向かう途中の道で、車椅子の中年の女性が歩道の段差を乗り越えられず四苦八苦している場面に遭遇した。
ソナは気づかないフリをして通り過ぎようとしたが、ソンジョンは駆け寄って後ろから車椅子を押し上げてやった。その女性が「まあ、どうも、ありがとうございます」と言うと、彼はよりによって人ごみの真ん中でピッと背筋を伸ばし軍隊式の敬礼をした。ソナが小さく舌打ちをして、周りに見えないようにソンジョンの脇腹にひじ打ちを食わせ、わざと周囲に聞こえるように日本語で言った。
「あんた、いくら自衛隊だからって、今日は非番でしょ。みんな引いちゃうじゃない!」
「あら、自衛隊の方でしたか。それはご苦労さまです。お世話になりました」
車椅子の上から再度会釈して女性が去っていくと、ソナはソンジョンを道路の脇に引っ張り込んで朝鮮語で怒鳴りつけた。
「馬鹿!あれじゃ正体ばらしてるようなもんじゃない。見知らぬ人にも親切にってガラ?」
しかしソンジョンは、かえって訳が分からないという表情で言い返す。
「しかし、あれは共産党の幹部の家族か何かだろう?知らん顔して通り過ぎたら、トラブルになると思っただけだが……」
美里も訳が分からず問いただす。
「あのね、そりゃ日本にも共産党って名前の付く政党はあるけど。なんで幹部の家族とかって話になるわけ?」
ソナは気づかないフリをして通り過ぎようとしたが、ソンジョンは駆け寄って後ろから車椅子を押し上げてやった。その女性が「まあ、どうも、ありがとうございます」と言うと、彼はよりによって人ごみの真ん中でピッと背筋を伸ばし軍隊式の敬礼をした。ソナが小さく舌打ちをして、周りに見えないようにソンジョンの脇腹にひじ打ちを食わせ、わざと周囲に聞こえるように日本語で言った。
「あんた、いくら自衛隊だからって、今日は非番でしょ。みんな引いちゃうじゃない!」
「あら、自衛隊の方でしたか。それはご苦労さまです。お世話になりました」
車椅子の上から再度会釈して女性が去っていくと、ソナはソンジョンを道路の脇に引っ張り込んで朝鮮語で怒鳴りつけた。
「馬鹿!あれじゃ正体ばらしてるようなもんじゃない。見知らぬ人にも親切にってガラ?」
しかしソンジョンは、かえって訳が分からないという表情で言い返す。
「しかし、あれは共産党の幹部の家族か何かだろう?知らん顔して通り過ぎたら、トラブルになると思っただけだが……」
美里も訳が分からず問いただす。
「あのね、そりゃ日本にも共産党って名前の付く政党はあるけど。なんで幹部の家族とかって話になるわけ?」



