ソンジョンの言葉の最期はほとんど絶叫調になっていた。美里は数秒間を置いて、感じた疑問を口にした。
「仮にそうだとして、暗殺したのは誰なのよ?」
これにはソナが答えた。
「可能性は二つ。一つは後継者になった金正日(キム・ジョンイル)が命じた」
「ちょっと待ってよ!金正日は金日成の実の息子でしょ?自分の父親を暗殺して何の得があるのよ?」
「さっき彼が言ったように証拠はないわ。でも、死の直前、金日成はアメリカ大統領の特使として平壌を訪問した、元アメリカ大統領と会談を行っている。でもその席に後継者であるはずの金正日は同席させなかった。馬鹿息子に愛想を尽かして後継者の地位からはずす事を考えていた。それに金正日が気づいて、ならいっその事……これが第一の可能性ね」
ソンジョンが後を続ける。
「第二の可能性は、さっき言ったように南朝鮮主導で南北統一が進んだ場合、特権的地位を失う軍や朝鮮労働党の幹部がやった、だ。南朝鮮に呑み込まれる形で共和国が統一したら、主席の七光りでさんざん好き勝手をやってきた連中は特権階級ではなくなる。北の人民の恨みを買っているから報復される怖れもある。俺自身は金正日将軍が犯人という説には懐疑的だ。確かに政治指導者としては無能だし馬鹿息子だが、だからこそ自分の父親を暗殺する度胸があったとは思えない。軍か党の幹部が複数共謀して主席を暗殺し、自分たちの都合のいいように操れる馬鹿息子をおだてて後継者にした。俺はこっちの可能性が高いと思っている」
「仮にそうだとして、暗殺したのは誰なのよ?」
これにはソナが答えた。
「可能性は二つ。一つは後継者になった金正日(キム・ジョンイル)が命じた」
「ちょっと待ってよ!金正日は金日成の実の息子でしょ?自分の父親を暗殺して何の得があるのよ?」
「さっき彼が言ったように証拠はないわ。でも、死の直前、金日成はアメリカ大統領の特使として平壌を訪問した、元アメリカ大統領と会談を行っている。でもその席に後継者であるはずの金正日は同席させなかった。馬鹿息子に愛想を尽かして後継者の地位からはずす事を考えていた。それに金正日が気づいて、ならいっその事……これが第一の可能性ね」
ソンジョンが後を続ける。
「第二の可能性は、さっき言ったように南朝鮮主導で南北統一が進んだ場合、特権的地位を失う軍や朝鮮労働党の幹部がやった、だ。南朝鮮に呑み込まれる形で共和国が統一したら、主席の七光りでさんざん好き勝手をやってきた連中は特権階級ではなくなる。北の人民の恨みを買っているから報復される怖れもある。俺自身は金正日将軍が犯人という説には懐疑的だ。確かに政治指導者としては無能だし馬鹿息子だが、だからこそ自分の父親を暗殺する度胸があったとは思えない。軍か党の幹部が複数共謀して主席を暗殺し、自分たちの都合のいいように操れる馬鹿息子をおだてて後継者にした。俺はこっちの可能性が高いと思っている」



