『なんでも、リュカの好きなことを願って?僕の力がそれを叶えるから』
嬉しそうに笑ってアンジェロが急かす。
(…なんでも)
本当にそんなことを言っていいんだろうか。
自分の一番の願いを聞いたらアンジェロはどんな顔をする?
それともそれを解った上で、わざと試してるのか?
「なんでも?」
『そう。自然の法則に反さない範囲ならなんだって』
にこにこと微笑むアンジェロの真意はわからない。
それでもきっと、こいつは知らないんだ。
知っているなら自分の目の前で呑気に笑っていられるはずがない。
(…まして友達になんか)
知っていたならなりたいと思うわけがない。
「考えとくよ」
リュカは一言そう言って羽根をポケットにしまった。
アンジェロは数回長い睫毛を瞬かせて、そのあとはまた笑顔にもどる。
『うん。わかった。リュカはね、僕が天使として初めて羽根をあげた人間なんだよ』
幸せそうにそう言った。


