(…あぁ、好きだよ)
リュカは心の中で肯定した。
唯一無二の弟であり、自分とは正反対であり、ある意味では憎むべき存在なのかもしれない。
それでも…。そういった部分も全てひっくるめてリュカはバスチアンを愛していた。
『ありがとう、リュカ』
「なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ」
突っぱねて言い返すリュカをアンジェロは宥めるように眺めた。
『リュカ、僕とずっと友達でいてくれる?』
どうしてそんなに友達にこだわるのだろう。思えば出会った時からアンジェロがしきりに口にするのはそればかりだ。
『ずっと、離れないでいてくれる?』
眉を顰めて懇願するような表情でうったえる。
(…アンジェロ?)
「あ、あぁ」
断ろうにも断れないほどに悲痛な顔でこちらを見るものだから、仕方なく肯いた。
これは同情に似た気持ちなのかもしれない。


