ふわりと音もなく着地したアンジェロは、しっかりと二本足で立ってこちらに笑いかけている。
サーシャの背とあまり変わらないくらいの身長で、目の前で微笑んでいる。
(…私、夢みてるのかな)
綺麗な天使の男の子に、たった今、出くわしているなんて…。
「天使にも足があるんだね」
その白磁の如く白い爪先をじっと見つめながら徐に言えば、
『僕は天使なんかじゃないよ』
アンジェロは肩を竦めて、クスリと笑った。
「じゃあ、だぁれ?」
『君が寂しい、って泣いてる声がしたから遊びに来たんだよ』
「え、私…、泣いてなんかない…」
本当に泣いてなどいなかったというのに。
人違いなんじゃないかとサーシャは首を傾げた。
すると少年は眉をさげて微笑み、ゆっくりと首を振った。


