だからこそバスチアンに憧れていたのだ。半分しか血の繋がりはないけれど、彼もまた自分と反対の位置にいる少年だった。
(…俺から、あいつを奪わないで、)
何から何まで似通ったアンジェロとバスチアンに嫉妬したのは言うまでもない。
「俺もあの絵も、お前が考えてるような素敵なもんじゃないよ」
『綺麗な絵を描く人は、心が美しい人だと思う――だって絵は心の鏡じゃない?』
恥ずかしげもなく、ニコニコとそんなことを言う。
リュカには口が避けても、言えないロマンチックな思想。
(…間違ってるよ、アンジェロ。だって俺が描いてたのは――)
―――俺自身の心じゃないもの


