『その…、うん。上から眺めててね、とても綺麗だと思ったんだ…』
(…あんな絵のどこが?)
やけに真摯な眼差しをこちらに向けるアンジェロ。
リュカはからかわれているんじゃないかと、半信半疑で向き合う。
「あんなの、誰だって描ける」
『そんなことない!そんなことないよ。あの絵も、リュカも凄く、なんていうか…、凄いんだよ』
馬鹿みたいに憤慨してリュカに講義するアンジェロ。
薄暗い通りにいても、上気したそのバラ色の頬がわかる。
(…変なの、真っ直ぐなやつ、)
『だって、辛いときにリュカが絵を描いてるのを見てるとね、僕は元気になれたんだ』
目を細めて微笑むその横顔に、思わずドキリとしたリュカ。
(…俺の、あんな、俺の絵なんかで?)
『だから感謝してるんだよ?』
眩しい。眩しいよ。
アンジェロのその想いにリュカは目が眩んだ。
いつも、どこかで自分を蔑んでいた。そんな自分が書く絵だって、必然的に汚くみえる。
シニカルで卑屈で悲観的で…
(…お前と俺は正反対なんだよ)


