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「ただいま、」
「あ、兄ちゃんお帰り!」
トタトタと駆け寄ってきたバスチアンの姿を目に入れて、リュカは束の間の安堵に息をはく。
キャスケットを脱いで、夕方手に入ったジャガイモをテーブルへ置く。
「兄ちゃん、あのね、凄いことがあるんだよう…?」
両手を揉みしだいて、口をもごもごとさせたバスチアンはもったいぶって上目遣いにリュカを見る。
「なに?バスチアン」
そのいつにもまして楽しそうな姿に自然と微笑みをみせてリュカは首を傾げた。
『―――おかえり!リュカ!』
その時突然、わーー!と背後からひょっこり姿を現したのは
「ア、ンジェロ…」
リュカが目を丸く見開けば
わー、きゃー、と2人して手を取り合い、嬉しそうに笑うアンジェロとバスチアン。
その仲睦まじい姿にひくりとリュカの片眉が動いた。
(…なんだ?、これ)
「兄ちゃん驚いた?驚いた?」
『バスチアンと2人でびっくりさせようと思ったんだよー』
「ねぇ兄ちゃん、アンジェロはね、お空にいる本物の天使なんだよぉー?」
(…煩い、)
2人から視線を逸らし、リュカは顔をしかめてせっせとスープを作る支度をする。
「あれぇ?…兄ちゃん?」
バスチアンが不思議そうにその顔を覗き込むが、反応はない。


