***
「なん、なんだよ…」
また来るねリュカ、そう告げてふわりと翼を翻し、青空に融けていったアンジェロ。
「なんで、天使が…」
あんなに、幸せそうな顔をして。
ブロンドの天使――アンジェロ。どういうわけかその名は耳にしたことがある。
「俺が、友達に、?」
なれるのだろうか。
弟バスチアンを抱え、先立つものもなく毎日ギリギリの生活を送る自分。
気づけば年を負うごとに、羨望の瞳は色濃くなり…
自分でも自覚せざるをえないほどに色んな人や、物が、生活が、
(…羨ましい)
母親に手を引かれる子供。
おもちゃ屋の前での家族連れ。
通りで自転車や新しいボールを転がす子供たち。
そういうもの全部に嫉妬して、いつのまにか卑しくて
「…俺に」
そんな自分が、あんなに全てを兼ね備えた至高の存在と友達になれるのだろうか。


