「すっごいんだなー…。天使が本当にいるなんて…」

『僕にしたら人間と、それに同い年の君と話してることのほうが珍しいけどね』


ピョコンと立ち上がってこちらへ歩いてくる少年にはちゃんと2本の足があり、リュカはそんなことにもまた目をぱちくりさせた。




『僕、アンジェロっていうんだ』


少年はその真っ白な腕を差し出して、リュカに握手を求める。




「俺は…」

『リュカ』

「え?」

『リュカでしょ?』


にんまりと両頬をあげて得意気に笑う。

悪戯そうな天使の調子に遅れをとるリュカは、戸惑って眉をあげたりさげたり。




『ねぇ、リュカ。

僕の友達になって?』


首を傾げて屈託のない笑顔で問うアンジェロ。

リュカはその時彼に嫉妬した。

明快な理由があるわけではなくただ、漠然と。

その真っ直ぐな青い瞳も、幸福しか味わったことのないような笑顔も。全部。



―――この、穢れない無垢で白い存在に嫉妬したのだ