「…え、?」


振り返ると、いつの間にか両開きの大きな窓が開いていて、シルクのカーテンはそよ風に誘われて揺れている。

その向こうに―――



(…男、の子?)



にこりと綺麗な笑みを浮かべた男の子が窓辺に腰掛けて、こちら側に垂らした両足を楽しそうに揺らしていた。




『ねぇ、寂しいんでしょ?』


そう問いかけて首を傾げた男の子の、密度の濃いふさふさの睫毛は金色に輝いて、その奥の瞳はサーシャと同じ色。

真っ白な服を纏った少年の背後には真っ青な空が広がり、雲が綿のように浮いている。

まるでそれは空から舞い降りた天使の出で立ちだった。




「…あなた、…だ、ぁれ?」


一枚の絵のようなその美しい光景に驚いて、口を開けたままポカンとしていたサーシャはたどたどしく尋ねる。

すると男の子はやはり楽しそうな笑顔で、それでも少し悲しそうにクスリと笑って答えた。




『僕に名前はもうないんだ。だから君がつけてよ』