また、知らなかった真実を目の当たりにする。
サーシャは深いため息をついた。
「…私、本当にアンジェロのこと、ちっとも知らなかったんだね、」
今となってはもう遅い、なにもかも。
あんなに一緒に居たのに。
ついこの間までは隣で笑って、くだらない話をして、チェスをして…。
もっと、自分の話ばかりじゃなく、アンジェロのことを聞いておけばよかった。
「…お姉ちゃん、」
いつの間にかサーシャの頬を伝う涙に気づいた少年は、慰めるようにサーシャの髪を耳にかける。
「…アンジェロのことが、そんなに好きだったんだね」
眉尻をさげて問う少年に、嗚咽を堪えながら無言で肯いた。