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「―――アンジェロ、アンジェロ!」


部屋に戻って勢いよくドアを開けた。



(…やっぱりいないかぁ)



けれどプレゼントの山が運ばれたピンク色の部屋に彼の姿はなく。

サーシャは残念そうに肩を落とす。

ゆっくりと窓辺に歩みよると、切なげに夜空を見上げた。



(…窓、開けといたのに)



アンジェロがいつ来てもいいように開け放しておいた窓の縁には雪が積もっていた。

それを名残惜しそうに人差し指で救うと、身震いして窓の扉を閉じる。




「寒っ」


彼に報告したいことが山とあった。

両親が自分の気持ちを何度も頷きながら聞いてくれたこと。

彼らに大好きだと、正直に思いをぶつけられたこと。

みんなみんな、アンジェロのおかげだ。両手いっぱいのありがとうを今すぐにでも伝えたかった。