欲しければすぐに手に入る。

この世に買えないものなんて、殆どない。

手をあげれば、目線をずらせば、召使いが要件を聞く。



―――大女優と大俳優の娘、サーシャがそれまでに子役として稼いだ金額は、その年13歳にしておよそ230億円に及んでいた。

加えて両親の総資産は世界を僅かに動かせるほどの額。

世界はサーシャのものだった。



「お腹が減った」
「このお店のものが全部欲しい」
「今すぐにあの人みたいに綺麗な黒髪にして」



言えば、何でも叶った。