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翌朝。

穏やかな朝の街に人々のざわめきが走った。

リュカを待ってほとんど寝ずに過ごしたバスチアンとアンジェロは、そのただならぬ空気を感じて外へでた。




「―――どうしたんですか?」

バスチアンが噂話の渦中にいる中年の女性に問うと、その人は片手を口元へやり、言いにくそうに小声で話した。




「今朝、教会で男の子が倒れて亡くなっているのが発見されたんだよ。

何でも、死因がなんだか解らないっていうじゃないか…。

不気味な話だよ。」


訝しむような目で恐い恐いと呟いて、またぺちゃくちゃと数人との噂話に戻る中年女性。

バスチアンは身を斬られるような思いで、その場に立ち尽くしていた。



(………………)



『バスチアン?』


異変に気づいたアンジェロも、彼のそばへ近づいて、蒼白な顔をまじまじと見つめた。



(………………)



何も言わなくともわかった。

だって彼にはバスチアンの心が手にとるようにわかるのだから。




「…違う、」


やっとのことで喉の奥から絞り出した乾いた声で、バスチアンが呟く。




「…違う。違う違う違う!」



(…兄ちゃんなわけない)