「…あ、」
ふと、遠くへ視線をやると、さっきアンジェロが可哀想だと言った銅像の首相が立っていた。
その隣、その隣に――――。
「…アンジェロ、」
翼を大きく広げて立つ、新たな天使の銅像があった。
その色は茶褐色で、真っ白なはずの翼の色も同じだった。
(…なんで)
自分には力が使えない。
となると、こうなることを望んで自らの力を使ったのは
「なんでお前…」
他でもないアンジェロ本人だ。
憎まれても自分のことが好きだと言って笑った。
自分で命を絶つことはできないと言って笑った。
(『…君は僕に勝てないよ』)
―――嘘つき。
(…最初から俺を負かすつもりなんてなかったんじゃねぇか)


