「…お前」
『リュカもパパもママも。全部僕だけのために居てほ――――――パンッ!
アンジェロの言葉をリュカが遮った。
目を見開くアンジェロの左頬には、赤く平手の跡があった。
『リュカ…』
「お前なぁ、どれだけ酷いやつなんだよ…。空で呑気に俺の父さんと、お前の母親は仲良くやってんだろ?これ以上俺たちから何を奪おうってんだよ!
バスチアンをこれ以上苦しめんなよ!」
はぁ、はぁ、と。
息があがるリュカ。
アンジェロはリュカに殴られた頬を押さえ、涙目に彼を見ていた。
「兄、ちゃん?」
騒ぎの音でバスチアンが目を覚ます。
ただごとではないその場の雰囲気に、リュカとアンジェロを交互に見遣った。


